【産業動向】NORフラッシュ・SLC NANDフラッシュの需給・価格動向 26年上半期 TrendForceレポート
2026-06-17 11:34:49
調査会社TrendForceは2026年6月16日に発表したメモリ産業に関するレポートで、NOR型フラッシュメモリ(NORフラッシュ)とSLC NANDフラッシュのコントラクト(契約)価格が2026年上半期、いずれも100%上昇したことを明らかにした。メモリ大手各社がAI(人工知能)サーバー用チップに内蔵するHBM(高帯域幅メモリ)や多層3D NAND型フラッシュメモリ(3D NANDフラッシュ)等の高付加価値製品へ生産能力をシフトする動きを継続していることにより、NORフラッシュとSLC NANDフラッシュが依存する成熟プロセスの供給能力が圧迫、一方で需要は安定していることが、価格の高騰につながっているとした。
レポートでTrendForceは、NORフラッシュはXIP(Execute In Place)機能と高い安定性を強みとし、ADAS(先進運転支援システム)やスマートコックピット等のカーエレクトロニクスやエッジAIデバイス等の分野で需要が急増していると指摘。特にAIモデルのローカル処理化に伴いシステムプログラムの容量が倍増していることが、256Mb以上の大容量NORフラッシュの需要を牽引しているとした。また、産業機器、衛星通信、航空宇宙関連設備等の分野では、NORフラッシュの高い信頼性は他の技術では代替困難で、高収益かつ安定した需要の基盤を形成しているとした。
一方、SLC NANDフラッシュについては、高いP/Eサイクル(書き換え寿命)、極めて低いエラー率、広範な動作温度域等の特性から、高信頼性システムに不可欠な選択肢になっていると指摘。スマートファクトリー、ロボット・自律移動ロボット(AMR)、エンタープライズサーバー(OS用ブートドライブや高頻度書き込みバッファ)の他、データエラーが許されない医療画像、軍事、航空宇宙機器等で需要が拡大し続けていると紹介した。
その上で、NORフラッシュの2026年上半期のコントラクト価格についてTrendForceは、メモリ需要が回復したことに加え、AI関連アプリケーションの急成長によって市場の限られた供給リソースが急速に消化されたとし、結果、NORフラッシュは納期長期化及びAllocation(供給割り当て)が先行して発生したと指摘。これを背景にコントラクト価格の平均上昇幅は100~120%に達したとし、とりわけ大容量製品の上昇幅が顕著だったとした。
SLC NANDフラッシュについては、一部のメモリ世界大手が小容量品及び成熟プロセス製品市場から相次いで撤退したことで供給が大幅に縮小した一方で、産業機器、自動車、ネットワーク機器関連の顧客による長期的な在庫確保が進んだことで、26年第2四半期(4〜6月)にはパニック買いが発生したと指摘。その結果、26年上半期のコントラクト価格は130~150%上昇したと紹介した。
一方、2026年下半期の見通しについてTrendForceは、メモリの主要サプライヤーはプロセスの微細化と歩留まり改善に注力し、新規生産能力の追加を予定していないため、長寿命製品に依存する車載・産業分野では長期的な供給不足のリスクに直面すると指摘。大容量NORフラッシュは車載・エッジAI需要に支えられ、下半期も60〜65%以上の値上がり余地があると予想した。これに対し、中低容量NORフラッシュは中国系サプライヤーの生産能力解放の影響を受け、価格上昇が鈍化し、一部製品は高値でのもみ合い局面に入る見込みだとした。
SLC NANDフラッシュについては、需要の著しい急増はないものの、供給元の減少が続くため、70〜75%の上昇幅が続くとの見通しを示した。
